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イエメンのムハンメッド

ニュースを見ていたら、イエメンの話をしていました。
日本人にはあまり馴染みのない、アラビア半島の南端にある国です。
つい先日、日本人のお医者さんが誘拐されて騒ぎになった、あの国です。
イエメンのムハンメッド_e0190984_19523625.jpg

(この写真はいただきもので、イエメンの砂漠かどうかは不明ですが)
イエメンってとても貧しい国なんですね。あまり石油も出ないとか。
学校に行けない子供も多く、識字率は全人口のわずか54%(2003年)です。
9歳にもならない女の子がお金のために結婚させられたりしています。
部族の伝統が強く残っていて、政府が統治しきれていないそうです。
それで、アルカイダのテロリストたちがたくさん暮らしているのです。

オバマ大統領が閉鎖しようとしているキューバのグアンタナモの収容所は、
9.11の直後から、拷問やら人権侵害やらで問題になっている場所ですが、
現在収容されている囚人たちのほぼ半数近くがイエメン人らしいです。
で、そこから釈放された人たちが、またアルカイダに復帰して、テロリストの仕事を
再開している、というのですから(しかもそういう人たちが堂々とテレビに出てくる)、
それはオバマさんとしてはものすごく悩むところでしょう。
アラブ人だというだけで不当に長期間収容されている人たちはすぐにでも出してあげないといけないけれど、正真正銘のテロリストたちは自由にしちゃいけないと思うんですよね。その区別が難しいから苦労しているのでしょうけど。

イエメン大使館のHPです。首都サナアの旧市街は世界遺産に登録されているだけあって、写真で見る限り、エキゾチックで美しい国です。

イエメンといえば、話は飛びますが(^^;ロンドンに住んでいたとき、イエメン出身の友達がいました。ムハンメッドという、イスラム圏ではこれ以上ないほどメジャーな名前の男の子でした。(「ムハンメッド」と「イブラヒム」と「ハッサン」が三大アラブ男子の名前だと、私は勝手に認識しています。)

当時、私は23歳、彼は確か19歳くらいだったと思います。
識字率54%の貧しい国から、ロンドン大学に留学に来るくらいですから、よほどの上流階級だったのでしょう。初めての一人暮らしが楽しくて仕方がないといった様子で、常に120%上機嫌、いつ見ても満面の笑顔でした。トントンと他人の肩を叩いて振り向かせておいてそっぽを向く、立っている人の後ろから「ひざカックン」をする、そんなしょうもないことを飽きもせずにくり返して、何がそんなに面白いんだろうというくらいに笑うので、こちらもつられて笑ってしまう、そんな感じの若者でした。

ムハンメッドはピザが好きで、特にピザ・ハットのバイキングが大好きで、毎日のように食べに行きたがりました。分厚い生地にチーズがたっぷり、ボリューム満点のアメリカンピザです。アメリカのものは好まないはずのアラブ人がそこまで絶賛するのがへんな感じでした。イスラム教徒なので「これに豚入ってる?」といちいち聞くのも、連れとしては若干めんどくさかったりします。

いずれにしても、それが2,3日も続くと、まわりが嫌がり始めます。もうピザはいいよ、となります。たぶん彼以外の学生たちは、ピザ・ハットのバイキングに毎日通えるなんて中学生くらいだ、と思っているのです。舌ももうちょっと肥えています。
実際、もっとちゃんとしたイタリアンレストランで、生地の薄い、出来立ての釜焼きピザを食べて、みんな美味しいと思ったのに、ムハンメッドだけは「ピザ・ハットのほうがいい」と断言。「じゃあおまえだけあっち行けよ」と、このときはみんなに寄ってたかって攻撃されていました。

もうひとつ、ムハンメッドの好きなものはゲームセンター。Leicester squareにあるゲーセンで、日本製のゲームに夢中になります。こちらも、1時間もすればみんな飽きてくるのですが、ムハンメッドは1日中でも遊んでいられるようです。もういいから、行くよ、と言われてしぶしぶゲーセンを後にするのですが、次の日、また同じところへ行こう、と提案してくるのです。

ムハンメッドって、子供みたいでめんどくさいんだよねー、つきあってると疲れるわ、なんて一番文句を言っていた20歳くらいの日本人の男の子が、ある日のこと、その子供っぽい彼に「銀行につきあって」と言われたそうです。銀行でお金を下ろしたい、イースターの休みに旅行に行くから、と。
いいよ、あ、じゃあおれも下ろそうかな、どこの銀行?とか言いながらついていくと、ムハンメッドは銀行の窓口に声をかけ、「こちらへどうぞ」と奥の応接室に通されて、アタッシュケースに入った現金を「はい、どうぞ」と渡されたそうです。

映画や刑事ドラマじゃあるまいし、アタッシュケースで現金受け取るって、何それ、おかしくない?銀行でお金下ろすって、あいつにとってはそういうものらしいよ、ATMじゃないんだよ、とその同行した日本人は後日、興奮気味に話していました。中身の金額まではわかりませんが、どっちみちそんな現金を持った人と一緒に歩くのはこっちが嫌ですけどね^^;。

ムハンメッドのことを10数年ぶりに思い出していたら、長くなってしまいました。
もう30歳ですから、奥さんの1人や2人、子供の10人や20人いるのでしょうか。
ああ見えても(笑)、一流の教育を受けた、国を背負って立つ人材です。
たくさんの問題を抱えたイエメンという国で、どんなふうに活躍しているのでしょう。
ムハンメッドの苗字を知らないので、もう探すすべもありません。

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by hadleywood | 2009-12-11 21:19 | ロンドン | Comments(0)

海外暮らし10年、訪れた国30ヶ国以上、紆余曲折を経て、語学教室の経営と外資系企業の法務部勤務をこなす日々☆旅行、美味しいもの、日々のいろいろ、ラテン音楽・サルサなどなど☆


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